株式会社ビジコンの久保田です。
日々の業務に追われて、領収書や帳簿整理がつい後回しになっていませんか?
「申告のときになんとかすれば…」と考える方も多いですが、それでは本当にもったいないのです。
帳簿整理は、単なる経理業務ではなく、経営を良くするための“地図”になります。
即答:帳簿整理は、利益改善・未来予測・資金戦略の出発点です
「帳簿=過去の記録」と思っていませんか?実は、数字を整理することで、今の事業がどこで利益を失い、どこにチャンスがあるのかが見えてきます。
帳簿整理で「利益の構造」が見える
帳簿整理を始めるには、まず以下の4つに分けて手元の書類(領収書・売上記録など)を整理してみてください。
- 売上高
- 仕入高
- 人件費
- 経費
次に、簡単な利益計算を行います:
利益(⑤)= 売上高(①)−(仕入高+人件費+経費)= ①−(②+③+④)
このシンプルな式を使えば、次のような疑問にすぐ答えが出せます:
- 今の事業は黒字か赤字か?
- 仕入や人件費の負担は適正か?
- 売上に対して利益がどのくらい残っているか?
「なんとなくうまくいってる気がする」から卒業する第一歩です。
原価率・利益率から経営の改善点が見える
帳簿をもとに、次のような指標を出してみましょう:
- 原価率= 仕入高 ÷ 売上高
- 利益率= 100 − 原価率
さらに人件費や経費も加味して、「総原価率」を見ると経営全体の効率が見えてきます。
✅ 原価率が高すぎると利益が圧迫され、低すぎると品質やサービス低下の懸念も。だからバランスが重要です。
業界によって適正な数値は異なりますが、自社の推移や感覚とのズレを確認するだけでも大きな気づきが得られます。
帳簿から「未来の数字」をシミュレーションできる
帳簿整理を継続していくと、数字の変化から未来の展開も考えやすくなります。
例:昼営業のみの飲食店が、夜営業を始めたいと考えている場合
項目 | 現在 | 夜営業(予想①) | 夜営業(予想②) |
---|---|---|---|
売上 | 300万円 | 500万円 | 700万円 |
仕入 | 100万円 | 200万円 | 200万円 |
人件費 | 50万円 | 100万円 | 100万円 |
経費 | 30万円 | 60万円 | 60万円 |
原価率 | 60% | 72% | 約51% |
利益率 | 40% | 28% | 約49% |
このように、未来の数字を「見える化」することで、
- 売上目標の妥当性
- 営業戦略の変更点
- 資金繰りの準備
といった経営判断が、数字に基づいてできるようになります。
たとえば、帳簿整理で「いくら利益が必要か」が見えたら、どのようにその利益を実現するかも検討できます。事業拡大や夜営業の開始など、将来の選択肢を考えるうえでは、資金の準備も重要です。
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よくある質問・誤解
Q. 帳簿整理は税理士に任せていれば十分では?
A. 頼れる専門家がいるのは大事なことですが、経営判断は最終的にご自身が行うものです。帳簿整理で利益の構造を理解しておくと、税理士との会話もより深く、実践的になります。
Q. エクセルで簡単にできるの?
A. はい、最低限の整理であればエクセルで十分可能です。後から会計ソフトに入力する際もスムーズになります。
Q. 業種によって適正な原価率・利益率って違う?
A. 違います。たとえば飲食業は原価率30〜35%程度が目安、サービス業では人件費が重視される傾向があります。自社の業界平均を知ることも重要です。
まとめ
帳簿整理は「面倒な作業」ではなく、経営者自身が利益と向き合う大切な時間です。
月に一度でも、売上や費用をざっくり集計してみてください。それだけで、次の一手が見えてくるはずです。
「経理」とは「経営管理」。帳簿は未来への道しるべです。